SENNHEISER HD 800 を使ってみた
ヘッドフォンの世界的メーカー、ゼンハイザー。
ファンの方も多いかと思いますが、私は好みではありませんでした。
それは「音が非常に籠もって聞こえる」からです。
解像度とは無縁な曖昧さ、何か人工臭を感じる作為的な音を、どうしても好きになれない。
以前、友人のヘッドフォン選びに同行した時、ゼンハイザーの製品をいくつか視聴。
「何この音、意味が分からない」
と心底 驚いた表情をし、真っ先に購入候補から外していました。
私も友人と同じで、この籠もった暗い音にお金を支払う価値を見いだせない、というのが正直な感想でした。
「でした」というのは、その認識が今では変わっています。
ネット上でSENNHEISER HD 800は「解像度が高い」という評価が目に留まり、もしかしてこれまでの製品とは全く違うのでは?と思い、確認したく購入!
SENNHEISER HD 800
まず驚いたのが元箱の大きさ。
ヘッドフォンに対してなんたるデカイことかw
デザインは好みもあるでしょうが、メカニカルに関わらず私は好きです。
普段はそのようなデザインを避ける私も、この造形はイヤではありません。
またコードが着脱式で、将来はバランスコードへの変更も容易というのは、とても大きなポイントです。
装着感はさすが高級機、素晴らしい。
ただ重量をある程度もっているので、こういったタイプに慣れない人は重く感じ、長時間のリスニングは出来ないかもしれません。
私はDENON AH-D7000を使っており、重さが全く同じなため、気になりません。
装着時の側圧は、最初は強いですが、使っていくうちに自分の頭に馴染んで気にならなくなるのは分かっているため、暫くのガマンです。
外観等については満足なので、早速つかってみましょう。
以下の機器で視聴してみました。
PC:自作 Windows7 Corei5
再生ソフト:JRiver Media Center
USBケーブル:Transparent PUSB2
電源コード:XLO PL1500
使ってみた
解像度が高いというのでしたら、ハイレゾ音楽を流してみましょう。
e-onkyo musicにて flac 96kHz/24bit が販売されています。
ハイレゾと一言でいってもピンキリで、中にはCDからリマスターされたものもあり
「・・・ハイレゾにした意味あるの?」
と疑問になるほど何も違いを感じない音源がある中、これはとても納得できる高音質。
ハイレゾを体験してみたい方にも良いと思います。
早速スタート。
スンゲー高解像度!!!
これまで視聴してきたゼンハイザー製品とは全くの別物。
レベルが違うどころではなく、メーカー自体が違うのでは?と思う程の高解像な音質。
籠もりなんて全く感じません。
1曲目「キャプテン・カリブ~ゲッタウェイ」のジャズピアノ、サックスに左右から鳴るハイハット等、どれもが明瞭に鳴り響き、音が潰れる事なく流麗なサウンドが流れます。
4曲目「リオ・ファンク」のスタートからのベースもリアルで、低音も出すぎず少なすぎずの絶妙な量。
この解像度と、高・中・低音の文句の付けようが無いバランス。
正にハイレゾを聞くにふさわしいヘッドフォンです。
また良く言われる「空間の広さ」について、私はネットに書かれているほど大きくは感じませんが、適度な広がりはあるため、今回のような楽器のみの音は、他のヘッドフォンより「音の重なり」が少なくなる印象を受け、その一つ一つがハッキリと聞き取れます。
もしHD 800に違和感、ないし欠点を挙げるとすれば、やはりゼンハイザー特有の「作為的な電子音」が若干なりとも感じ取れる事でしょうか。
ただそこを「味」とする方もいるでしょうし、よりナチュラルさを求めるとなれば、私が聞いてきた中では STAX になるかと思います。
そうなると恐らく求める方向性自体が変わってきますので、同列で比較するのは難しいでしょう。
STAXは開発者も言うように「ある意味、面白くない音」です。
原音をあまりに忠実に再現するため、味付けが無く、ストレートすぎる。
なので最初、店頭で聞いた時はそのナチュラルサウンドを、良いかどうかの判断がし難かった印象があります。
聞いていくうちに、オーケストラの再現性でこれに敵うヘッドフォンはあるのか・・・と感じるようにはなってきましたが。
オーディオ機器自体はそもそも個人の好みで大きく評価は分かれるでしょうが、私はこの高解像度でバランスの良い高中低音、空間を感じるサウンドを鳴らすHD 800がとても好きになりました。
ゼンハイザー、やれば出来るジャン。
今までの籠もった音は何だったの・・・。
いやまぁ、今まで聞いてきたものとは価格が異なるといえばそうなんですけどね。
折角なので、後日は別のヘッドフォンも交え、比較検証してみたいと思います。